銀行の法人口座を開設するときには、事業経営の実質的支配者を確認することになっています。
「社長」という肩書の人物ではなく、その法人の「実質的支配者」を銀行に伝えることになっています。
この確認は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に基づいているため、どの銀行で開設しても聞かれます。
それでは、「実質的支配者」とは具体的にどういうことでしょうか。
ジャパンネット銀行の解説
ジャパンネット銀行で、「実質的支配者」について解説しているページがあります。
どの銀行よりもわかりやすいチャートで説明してくれています。
ただし、説明している情報量が多いので、このページでは要点だけを5分でわかるように解説します。
株式会社と有限会社は大株主のこと
株式会社や有限会社は、「資本多数決法人」と呼ばれています。
出資比率に応じた議決権を持っているからです。
そのため、事業経営の実質的支配者とは、大株主となります。
- 議決権の50%超を保有する個人(1名)
- 上記がいなければ、25%~50%を保有する個人(複数いれば全員)
- 上記がいなければ、出資・融資・取引で支配的な影響力を持つ個人
- 上記がいなければ、法人を代表し事業を執行する個人
起業した時には、通常、創業者たちが株を保有しているはずなので、創業経営者が実質的な支配者となるケースが多いはず。
仮に「代表取締役」がいても、その人が株(議決権)を持っていないケースがある。他に大株主がいるなら、実質的支配者は大株主になります。
これは株式会社の基本なので、多くの人がイメージしている通りです。
合名会社、合資会社、合同会社は複雑になる
最近増えてきた合名・合資・合同会社は、ちょっと話が変わってきます。
出資比率で支配が決まる法人ではありません。資本多数決法人ではないので、実質的支配者の認定も違います。
合名会社、合資会社、合同会社の場合、2つの角度から認定されます。
- 収益配当、財産分配を受ける権利
- 出資、融資、取引その他で、事業活動に支配的な影響力を持つ個人
その両面から実質的支配者を認定します。
創業者が出資し、事業に支配的な権利を持っていても、収益配当・財産分配を受ける権利が別の個人に設定されている可能性があるからです。
上記でご紹介したジャパンネット銀行のチャートを参考にして、認定してください。
口座を開く銀行で特に解説があれば、そちらを参照してください。
主観的な判断での自己申告なのか
株式とか収益配当を受ける権利であれば、その比率が数字で出てきます。
しかし、「出資、融資、取引その他で、事業活動に支配的な影響力を持つ個人」というのは、微妙な判断になるケースもありそうです。
たとえば、ある取引先から融資を受けているとします。
それを「事業活動に支配的な影響力を持つ個人」とみなすかどうかは、主観的な判断となります。どのくらいの融資額なら「支配的な影響力」とみなすべきか、明確な基準はありません。
迷った時点で「支配的な影響力」とみなすべきかも知れませんが・・・。
どうしても判断に迷ったら、口座開設のときに銀行の担当者に問い合わせましょう。
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